いつも大変お世話になります。
ミリオネットの田中潮です。
先日は、独立店でありながら個性的なお店づくりをしているチャックスプロデュース&ストリートマーケットというお店を紹介しました。

今回は、PCC コミュニティマーケットというお店を紹介します。

このお店は、アメリカで自然食・オーガニック食品を扱う生協です。
シアトルの街中に9店舗展開しています。
生協なので品質が売りですから、安売りするお店ではありません。
したがってターゲット顧客は比較的ハイソなLOHAS消費者です。
立地もハイソな人々が住んでいるエリアを選んで出店しています。
ところで、アメリカでは、店舗の“ハコ”(建物)にはお金をかけないんだそうです。
お金をかけるのは、中身、つまり什器関連。
何故かと言うと、アメリカでは不採算店舗を容赦なく閉店し、儲かるエリアに移転する「スクラップアンドビルド」が積極的に行われますが、その際の無駄を省くためだそうです。
建物にお金をかけても持っていけませんが、中身(什器など)は持っていけますからね。
今回訪問したPCCも、まさにそれを体現したお店。
交通事情や周辺事情が変わったことでハイソな人々の住むエリア少し移動したため、それに合わせて店舗も移転したそうです。
ターゲット顧客に合わせて店舗も移転。
「誰に」「どんな価値を」提供するお店なのか、このマーケティング戦略の徹底ぶりには驚かされます。
しかし、PCCではもうひとつのターゲット顧客が存在します。
それは・・・
“子供”
「子供がターゲット顧客?ナニ言ってんの?」と怒られそうですが、事実です。
先ほども申しました通り、生協なので商品は良いものですから当然、安売りするお店ではありません。
しかし、最近の子供はインスタント食品やファストフードの濃い味に慣れてしまい、薄味や健康志向の食事を「美味しくない」と感じるケースが増えてきている傾向があります。
ですから、そういう子供が増えると添加物だらけの食材の方が美味しいと思われてしまい、PCCを選んで貰えなくなります。
したがって“食育”をしっかり行い、その子供達が大人になった時にそのままPCCを利用したいと思っていただけるように、子供の頃から関係性を構築していく“客育”に力をいれているのです。
ここではキッズクラブという子供向けの会員組織を作り、子供は無料で野菜や果物を試食することが出来るようにしています。

また、毎日、有料の料理教室を開催してオーガニック食材を使った料理の素晴らしさをお客様に教育しているんです。
近くの学校に20種類程度のオーガニック食材を持って行って試食してもらい、アンケートを取るなどの取り組みもしてます。
アンケート結果で子供の評判が良かった商品には「KID PICS」(子供に選ばれました)という表示をしています。
PCCは、「ローカル」「オーガニック」だけでなく、子供の食育を戦略に組み込んだテーマ性が高いお店でした。
皆様のお店独自のテーマはどんなものでしょうか?
次回は、シアトルにあるQFCというお店を紹介します。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。