いつも大変お世話になります。
ミリオネットの田中潮です。
- 優良店舗事例 : フレッドマイヤー
- 「顧客」と「個客」
- 感動体験という経験価値
先日は、『客育』をテーマにPCCという会員制のスーパーを紹介しました。
子供とのコミュニケーションを重視し、更に食育を小さなうちから行うことで、将来的にPCCのお客様になっていただこうという育成型のマーケティングを展開しているお店でした。
今回は、アメリカのフレッドマイヤーというお店を通じて顧客台帳データの活用による『個客』対応を紹介します。
優良店舗事例 : フレッドマイヤー

全米最大規模のスーパーマーケットチェーンであるクローガー傘下のフレッドマイヤーは、食品・アパレル・宝石なんでも揃う大型量販店です。
ここまで書くと、普通のディスカウントストアのようなイメージを持たれると思います。
さて、どうでしょうか?

店内に入ってみます。
商品の陳列は整然としてはいますが、特に目新しい工夫は見当たりません。
売り場には、関連商品の展示いわゆるクロスMDが大々的に展開されています。
※POSデータを解析し、併売傾向の強い商品、例えばお肉コーナーの側にタレやお酒を配置しついで買いを促進、単価アップを狙う手法。

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・・・その通り!
一見すると普通の低価格路線の量販店そのものなのです。
しかし、そんな中でもしっかりとした「リピート戦略」が存在していました。
「顧客」ではなく「個客」
量販店だと、どうしても「より良い物をより安く」といった、昔からよく聞く効率を最優先した販売スタイルになりがちです。
したがって、手間のかかる顧客管理などはせずにEveryday Low Price戦略を採用し集客を最大化させようというケースが多いと思います。
しかし、このフレッドマイヤーではしっかりとした顧客管理・・・つまりマスマーケティングではなく、CRM=お客様を傾向別に色分けする「個客」管理が実践されていたのです。
具体的には会員価格やFSPの導入です。
FSP・・・覚えていますか?
FSPは下記の頭文字を取った用語です。
Frequent(来店頻度)
Shoppers(お客様)
Program (計画・要項)
・一見さんは一見さんなりに、
・VIP客はそれに見合った
顧客満足を提供する為の施策のことです。
つまり単なる低価格路線ではなく、お客様によって価格が異なる「個」のリピート戦略を実践しています。
具体的には利用金額に応じて、そのお客様が頻繁に購入されている商品のクーポン券が手に入る・・・などです。
更に凄いのは、この量販店はカスタマーサービスを差別化ポイントにしているということなのです!
感動体験という経験価値

店内には、(日本でも良く見る)カスタマーサービスのコーナーがあります。
しかし、このフレッドマイヤーでは、障がい者や高齢のお客様をサポートする専任(!)のスタッフが店内を回っていてサポートしてくれます。
「経験価値」とは、商品そのもの(値段や品質など)の物質的な価値ではなく、そのお店を利用することでお客様がどれだけ幸せになれたかという精神的・心理的な価値のことです。
例えばカメラを販売する場合・・・
①画素数や望遠倍率、重さなどのスペック
②思い出づくり
①が物質価値、②が経験価値になります。
当然、物質価値だけならばどのお店で買ってもカメラの価値は同じなので、残るは価格で勝負するしかありません。
地域密着型店舗が価格以外で勝負するには、いかに経験価値を提供できるか、にかかっていると言っても過言ではないでしょう。
高齢の方にとって、(専門店ならともかく)量販店でしっかりとしたサポートを受けながら買い物ができれば、それは大きな感動体験になるはずです。
いかがでしょうか?
人件費は掛かりますが、価格戦略を超えた素晴らしいリピート戦略だと思いませんか?
「忙しいから・・・」
「ウチの販売スタイルに合わないから・・・」
と顧客管理やリピート戦略を敬遠していませんか?
フレッドマイヤーの様に、大型量販店でもリピート戦略やカスタマーサービス戦略を実践できるのです。
個客感動を創造し、経験価値を提供しましょう。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。