いつも大変お世話になります。
ミリオネットの田中潮です。
- 顧客セグメンテーション
- 客育事例 : PCC
- 客育事例 : トヨタ
先日はRFM分析を中心に紹介しました。
そこで陥りやすい「罠」と、それを回避する為の基本的な考え方がCRMであり、育成型の発想が必要であると言う事についても紹介させていただきました。
今回は、その育成型のマーケティングについてです。
顧客セグメンテーション
セグメンテーションとは、区分・分類の事です。
しかし、単にお客様をグループ分けすれば良いという訳ではありません。
店舗にとって一番有り難いのは、どんなお客様なのか?
離反客とは、どれぐらいの期間未購入のお客様なのか?
など、お客様との関係性のステップを区切っていくのは実際にやってみると、意外と難しいのです。
その為、育成型のマーケティングを実践する為には、まずは顧客データ(個人属性+来店情報)を蓄積する必要があります。
その過程で、RFM分析や個人属性情報なども用いて顧客をセグメント化していきます。
- 優良固定客
- 優良客
- リピート客
- 新規客
- 見込み客
- 完全離反客
- 離反客
- 離反予備軍
などのイメージです。
見込み客→新規客→リピート客→優良客→優良固定客といった様に、店舗とお客様との関係性を発展させていく事が「客育」でありCRMの本質だと思います。
ここで、まだ購買に至っていない見込み客に対するアプローチを「客育」という観点から考えてみます。
客育事例 : PCC
事例としては、PCCというシアトルを中心に多店舗展開している食品スーパーがあります。
この店舗のターゲットは、地域に住むオーガニック(有機栽培)志向が高い高所得者層です。
そこで、下記のような社会貢献活動を行う事で、このスーパーを利用する事のステイタスを上げる工夫をしています。
PCCでは、買い物毎に一定金額をお客様に代わって店舗が寄付する仕組みを導入しています。
更に、多くのメーカーや企業が集まり、様々な理由で売り物にならないがまだ提供可能なものを、施設や生活困窮者の人達に無料で提供するフードバンクという団体に寄付しています。
また、有料の料理教室を年に700回も実施し、オーガニック志向の高い顧客を長期に渡り育てています。

それだけではありません。
このスーパーでは「キッドピクス」という取り組みがあり、子供にアンケートを取って90点以上獲得した商品に「キッドピクス」の札を貼っています。
これには2つの目的があります。
ひとつは、購買者である親御さんへのアプローチ。
子供を持つ親にとって「子供に人気がある」という安心感から購買しやすくなるというパターンです。
実際、キッドピクスに選ばれた商品は、8~12%の売上増となっています。
もうひとつは、非購買者である子供へのアプローチ。
まだ「顧客」ではありませんが、子供の内から店舗運営に関わってもらい、その子供が購買力を身に付けた時
に迷わずPCCを利用して貰うという、正に客育的発想での取り組みです。
客育事例 : トヨタ

同じような話は、日本が誇る自動車メーカーのトヨタにもあります。
随分前の事ですが、ある専門誌のアンケートでトヨタブランドに対して「オヤジ臭い」というイメージが持たれているという結果が出ていました。
このままでは良くないと感じたトヨタは、初代プリウスや初代ヴィッツ(ヤリス)などに続き、当時若者向けのブランド展開をしていた「WiLL」という異業種間の合同プロジェクトに参加して「WiLL Vi」という馬車の様な車を発売しました。
おそらく、「WiLL Vi」は数を売る車として発売した訳ではないと私は考えています。
「トヨタは、こんな楽しい車も作れるんですよ」というメッセージを世の中に発信したかったのではないでしょうか。
実際、この数年後のアンケート結果では、トヨタは若者に最も尊敬される企業になっていました。
次に新規顧客ですが、この段階では代表的な施策としてサンキューメール(レター)などが挙げられますね。
今回も長くなってしまいました。
このテーマは、次回とさせていただきます。
顧客セグメントの設定は、まず基準づくりから!
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。