【第19回】顧客台帳活用講座|ディズニーランドに学ぶブランディング

いつも大変お世話になります。
ミリオネットの田中潮です。

本日のテーマ
  • 事業ドメインの「モノ」と「コト」
  • 脱マニュアル化

先日は、インナーブランディングをテーマに「人」にスポットを当てて考えてみました。
その中で、ニューシーズンズという人材力を売りにした食品スーパーも紹介させていただきました。

このスーパーの取り組みは、おそらくこれからの実店舗におけるネットショップとの差別化戦略という意味において、非常に有効なヒントになるのではないかと思います。

事業ドメインの「モノ」と「コト」

お店の事業領域を「○○を売る」という「モノ」で定義すると、無店舗販売で価格勝負をする通信販売には勝てないでしょう。

例えば総菜であれば「食べ物」ではなく一人暮らしや年配者向けに「健康」を売るとか、カメラ屋さんであれば「カメラ」ではなく「思い出づくり」を売る
など「コト」の定義で店舗を考えると、「モノ」に特化したオンラインショップには決して模倣できない実店舗独自のサービス提供が可能になるはずです。

以前、経験価値マーケティングの話をさせていただきましたが、実店舗を通じて得られる経験価値において「人」が果たす役割が大きいことは先日紹介したニューシーズンズの事例においても明らかだと思います。

この「人」を戦略的資源として重視しており、そのことで成果を上げているのがディズニーランドでしょう。

脱マニュアル化

非常に有名な話ですが、あるキャストがお客様の為にとった感動的な行動を紹介します。
(スペースの都合上、編集しています。)

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ある夫婦が東京ディズニーランドに訪れます。

その夫婦はレストランに入ると、お子様ランチを注文したのです。

お子様ランチは、マニュアルでは9歳以下という事になっており、子供がいない方の注文はお断りするのがルールです。

普通であれば丁寧にお断りしても不思議ではないのですが、対応したキャストはお客様の立場にたって事情を伺いました。

「失礼ですが、お子様ランチは、どなたが召し上がるのですか?」

死んだ子供のために・・・」と奥様。
「私たちには子供がなかなか授かりませんでした。」
「求め続けてやっと待望の娘が産まれましたが身体が弱く一歳の誕生日を待たずに神様のもとに召されたのです。」
「私たち夫婦も泣いて過ごしました。子供の一周忌に、いつかは子供を連れて来ようと話していたので今日、ディズニーランドに来たのです。」
「そして、ゲートのところで渡されたマップに、ここにお子様ランチがあると書いてあったので思い出に・・・」
そう言って夫婦は目を伏せました。

「そうですか。では、お召し上がりください。」とキャストは応じます。

そして「ご家族の皆さま、どうぞこちらの方に」と家族テーブルに夫婦を移動させ、それから子供用の椅子を一つ用意しました。
そして、「お子様は、こちらに」と、まるで亡くなった子供が生きているかのように小さな椅子に導いたのです。

しばらくして運ばれてきたのは三人分のお子様ランチ

キャストは「皆さまでゆっくりお楽しみください」と挨拶して、その場を立ち去ります。

夫婦は子供との日々を思い出しながら、お子様ランチを食べました。

この出来事の後に夫婦は、手紙を書きます。

「涙が止まりませんでした・・・。」
まるで娘が生きている様に団らんを味わいました。
「こんな娘との団らんをディズニーランドでさせていただくとは、夢にも思いませんでした。」
「これから、二人で涙を拭いて生きて行きます。また娘を連れてディズニーランドに必ず行きます。」
「そして、私たちは話し合いました!今度は、この子の妹か弟を連れて遊びに行きます!

と言う手紙がディズニーランドに届いたのです。
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いかがでしょうか。
とても感動的なお話だったと思います。
私も、この話をメールでいただいたのですが、読むたびに何度も泣いてしまいます。

このような行為は表面的にはマニュアル違反ですね。
しかし、このキャストは、この出来事の後に皆の前で称賛され拍手を浴びることになります。

会社の事業ドメインを「モノ」ではなく「コト」で捉えそれを従業員皆が共有していたからこそ、このキャストは心を込めてこの様な対応が出来たのだと思います。

東京ディズニーランドを運営するオリエンタルランドの企業理念はこうです。

「自由でみずみずしい発想を原動力に、
 すばらしい夢と感動、ひととしての喜び、
 そしてやすらぎを提供します。」

つまり、事業ドメインを「モノ」「コト」で定義すると以下のようになります。

「モノ」:ディズニーコンテンツの販売。
「コト」:ディズニーキャラクターを通じて夢を売る。

脱マニュアル化とは、マニュアルを無視するのではなく、マニュアルの本質を理解して、その本質に沿ってお客様満足の為にマニュアルの規程を超えた行動をするということだと思います。

そして、その「本質」こそが企業の理念や価値感でありブランド定義そのものです。
そのブランド定義の浸透については先日のインナーブランディングの内容に繋がっていきます。

いかがでしょうか?
直接的に収益に繋がる活動ではないので、つい後回しにしがちなテーマですが、2回にわたって「人材」について考えてきました。

「モノ」が溢れ成熟産業となって今だからこそ、またネット社会が台頭している今だからこそ、実店舗における「人材」の重要性が高まってきているのでは
ないでしょうか。

次回は、今回のモチベーションにちなんで、
私がアメリカの優良小売店舗の視察研修に行った話を中心にしたいと思います。
テーマは、日本とアメリカの小売業の違いについてです。

本日のまとめ

貴店の「コト」を全社員で共有する事で、模倣困難な「全体最適化」を生み出します!

最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

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